当院のインプラント治療テクニック
コンピュータシミュレーションとサージカルガイド
安全に治療を行うために、コンピュータシミュレーションとサージカルガイドを使用して治療を行います。
100%これだけを信用して行うのではなく、しっかりと自分の目で見てダブルチェックを行いながら、より確実な治療を行っています。
意図的傾斜埋入
意図的傾斜埋入とは、
方法です。
手術時間や治療時間の短縮また、移植に対応できない場合のテクニックとなります。
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フルマウス
マロ・クリニック東京の提携医院のため、使える歯がない人に対して、マロ・クリニックプロトコル(最初の4~6本で12本のインプラントブリッジを支えるテクニック)に準じて行う方法です。
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アダプテーションテクニック
一人ひとり骨質が異なるため、骨(量・質)の違いに応じて削り方を変えながら行うテクニックです。
硬い骨、柔らかい骨などその人の骨質に応じた形成を行います。 -
骨造成
インプラントは健全な骨組織に囲まれる必要があります。ただ、何らかの理由で骨量が不足しているがインプラント治療は行いたいという場合に、骨組織の再生療法(骨造成guided bone regeneration, ridge augmentation )をインプラント手術と平行して行うことがあります。血液供給、骨組織のできる好ましい足場、骨移植が必要です。
移植骨としては、自家骨、FDBA、βTCP、など複数を混合で用い、安定のためのバリアとして、コラーゲン膜を利用することが多いです。(別途費用がかかります)
この術式も100%成功するわけではないこと、また他の部位から骨を採取する必要があるので創部が増えてしまいます。
骨造成は当院では、あまり積極的には行っていない処置です。理由は、造成した骨の安定性に疑問が残ること、コストの割に重度の失敗がありうること(インプラントの重度の外科的なトラブルは主に骨造成に関連しているといっても過言ではありません)からです。 -
上顎洞粘膜挙上
上顎の奥歯の部位にインプラントを適用したいが、上顎洞が大きく歯槽骨が薄く、骨がない場合がしばしばあります。このような状況でインプラントをする場合、上顎洞粘膜を剥がしてどけて、空いた空間に骨造成を行ってインプラントを埋入する術式です。上顎洞粘膜を剥離挙上するという手技がある以外は骨造成の術式と同様です。この術式も当院ではあまり積極的には行っていません。理由は骨造成の理由と同様で、造成した骨組織の信頼性に欠ける、または重度の外科的偶発症リスクが高い処置であるからです。
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スプリットクレスト
骨の深さはあるが水平幅が少ない場合に、2枚におろして開いて骨の板の間に挟むようにインプラントを埋入していく術式です。
骨の断面の創部は、血餅から骨組織に置換えることで骨量不足でもインプラントが可能になるという利点があります。
この術式も当院では積極的には行っていません。完全に骨折させてしまうと治癒不全をきたす可能性がありテクニックの難しさがあると感じています。 -
ブロック骨移植
インプラントを適用したいが骨量不足が著しい場合に、骨盤の骨から骨をブロック採取して成形し、顎骨に移植する方法です。インプラントが普及する前から、口腔外科の手術や外傷でブロック骨移植は行われており、信頼できる方法ですが、腰(腸骨)など全身の他の部位にも手術が必要になるという欠点が大きい治療法です。
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抜歯即時埋入
インプラントは一般に歯が抜歯され、その傷も治癒してから埋入をするのが通法でした。しかし近年、抜歯と同時にインプラントを埋入し、治療期間を短縮しても安全にできる場合があることがわかってきました。
しかし、抜歯即時埋入が成功するにはさまざまな条件があり、まだまだ全例で適用できるものではありません。抜歯の創部は歯根の形態の骨の穴であり、その穴の方向や形は一般に理想的なインプラント埋入ポジションとはかなりずれています。歯があったということで歯肉の閉鎖も完全にできません。また抜歯する歯根の周囲に感染や病巣がある場合もあります。治療期間は短い方が望ましいですが、インプラントの長期的な成功のために、どの治療方法が最適か(リスクが少ない方法は何か)を第一に考えて治療法を選択すべきです。 -
即時荷重 早期荷重
インプラントは一般に埋入してから下顎で2~3ヶ月、上顎で半年ほど咬合力をかけない=いわゆる免荷期間(治癒期間)を設けていました。
即時荷重は、埋入と同時に仮歯をつけて歯冠形態と咬合をある程度回復させる方法です。
オールオンフォー(All On4)、あるいは、マロ・クリニックプロトコル、クラシカルにはブローネマルクノバムなどは即時加圧という術式になります。早期荷重は、上記の免荷期間を短縮(約1ヶ月に短縮)し仮歯をつけて歯冠形態と咬合をある程度回復させる方法です。いずれも、免荷期間、治癒期間を設けないことで治療期間を短縮できますが、初期固定35N以上というのが早期荷重や即時荷重の条件とされています。しかし当院では、慎重に治療を行うため、35N以上でもAll On 4という治療法以外で即時荷重することは行いません。
矯正用のインプラントアンカースクリューはほとんどが即時荷重、早期荷重を想定して考案されています。しかし矯正用インプラントアンカーでも初期固定がある程度出ないと脱落します。実際には「矯正用インプラントアンカー」といえども初期固定15Nは最低限、できれば20~25Nくらいが安心と思っています。 -
光機能化
インプラント体表面に所定の条件で紫外線照射すると、インプラント表面性状の親水性が改善され、インプラント表面と接する骨や結合組織の治癒が促進されることが認められました。
当院で使用しているノーベルバイオケア社Branemark Implant TiUnite表面にも有効なので2年前から導入していますが「術後の治癒が早い」「術後の痛みや腫れが少ない」という臨床実感をもっています。 -
成長因子
埋入されたインプラントには骨組織ですべて覆われてほしいのですが、実際には、一部インプラント体の表面が骨から露出してしまう事態は起こりえます。
そのような時に、インプラント表面に骨組織と結合織、歯肉で治癒過程のうちに被覆されるように、成長因子を使用することが行われています。
Emdgainエナメルマトリックスデリバティブ、PRP血小板濃縮血漿など色々な薬剤が出ており有効性安全性が認められているようですが、いずれもある程度費用がかかってしまいます。骨組織で十分に被覆されるインプラント創部では必要なく、もともと骨量不足の場合に主に前歯部インプラントで用いられることが多いようです。 -
On 1 コンセプト
インプラントの歯というのは、基本ネジ止め固定されているわけですが、そのネジの着脱の回数が少ないほど、周囲組織の長期経過に良いということがわかってきました。
On 1 コンセプトとは、インプラント埋入と同時に、インプラント体にアバットメントを最終トルク35Nで結合してしまい、そのアバットメントはその後ずっとはずさないで、仮歯、最終の人工歯まで進めることができるインプラントシステムです。
しかし文献的に着脱が3回以内であればインプラント周囲骨喪失に影響がないことがわかっているので、2回3回までは撤去しても実際的には問題ないのではないかと考えられます。
当院のインプラント治療の特徴
ブローネマルク インプラントを、オリジナルの方法で忠実に行う
インプラントの新しい機材やシステムが発展していますが、インプラント歯科学の基本原理が変わったわけではありません。
当院では、インプラント歯科学の基本原理を構築した、ブローネマルク教授の治療コンセプトを忠実に実施し、世界でも信頼されているインプラント治療を提供しています。
口腔外科の専門治療で必要とされる確実な処置と設備
当院のインプラント治療は、口腔外科で研修を行なったことによる確かなバックボーンがあります。
インプラント治療は外科手術なので、しっかりと訓練を行なった歯科医が行なわないと、安全性の高い手術を行うことは不可能です。
また、生物学的原理に反する治療、例えばインプラントと骨が結合するのに必要な治癒期間を短くすることは、失敗するリスクが高くなってしまいます。
当院には完全個室の手術室を完備し、理想的な環境でインプラントの治療を行うことができます。
X線CTによる診断(リスクの軽減)
インプラント治療を行う場合、患者さんにとって最善の治療方法なのか、診断することが重要です。
診断を間違ってしまうと、患者さんに苦痛を強いることにもなりかねません。
そのためにはCTによる診断は欠かせません。
当院では提携している近隣のCT撮影専門クリニックで、精度の高いCTを撮ることができます。
CTにより、顎の骨の厚み、神経や血管の位置などを把握することが可能で、インプラントの必要度を含めたリスクの診断が正確にできます。
また、インプラント手術を行う際にも、埋め込むインプラントの角度や長さが決められるなど、精度の高い手術を行うことが可能です。
必要最小限の手術方法を選択
インプラントの場合、本数が増えると体の負担・費用の負担も増えてしまいます。
なくなった歯の本数分インプラントを入れる歯科医院もありますが、当院では患者さんの負担を最小限に留めるよう、手術方法を選択しております。
例えば、3~4本歯がない場合、インプラントにするのは2本でも可能です。
インプラント手術には、ケースバイケースで、いろいろな方法があります。
総合病院の口腔外科との連携
手術には万全を期しておりますが、万が一ということも起こり得ます(当院では今まで起こっていません。あってはならないことだと思います)。
いざという時でも、日本口腔外科学会専門医がいる「立川病院歯科口腔外科」が近くにあるので安心です。
全身管理、疼痛ストレス管理のできる歯科麻酔医師が常勤
インプラントのような高度な歯科手術においては通常の歯の麻酔とは異なり、顎の骨を痛みの少ない状態にする必要があり、歯科麻酔の専門技術が欠かせません。
多くの歯科医院では必要な時だけ歯科麻酔医に来てもらっていますが、当院では歯科麻酔医が常駐しています。
全身疾患がある人、極度に緊張してしまう人、治療の音を聞いただけで血圧が上がってしまう人など、鎮静剤を点滴することで、患者さんが非常に楽に手術を受けることができるようになります。
術後のフォローアップ
インプラント治療は、手術をして歯が入ったら終了ではありません。
重要なのは術後のメンテナンスです。
インプラントは一生使用できるとは限りません。しかし、患者さんの手術時の年齢にもよりますが、メンテナンスをしっかり行なえば、一生使用することも不可能ではありません。
当院では、術後の患者さんをしっかりとフォローするため定期的な検診と丁寧なアフターケアを行います。
精密インプラントを可能にするための機材
マイクロスコープ
肉眼よりも明るく拡大視野で見ることのできるマイクロスコープを使用することで、歯の異常を精密に正確に確認することができます。歯の凹凸や歯の根の部分の確認などなどさまざまなことができるため診断能力が向上し、より精密な治療を行うことができます。
マイクロスコープを導入している歯科医院はまだまだ少ない状態ですが、マイクロスコープを使った治療を行うことは歯科治療を行う上でメリットが非常に大きいため、当院ではほとんどすべての治療にマイクロスコープを使用しています。
CTスキャン
現在インプラント治療の前にCTを撮影することは必須、であります。
CTにて骨量・骨質、周囲にある避けなければならない組織との距離などを正確に把握する必要があります。
また現在のシミュレーションでは適用するインプラントのポジションやサイズ、方向、最終的な歯の形態、まで事前にプランニングできますがこれはCT上で行います。当院でも患者さんとCTでのインプラントプランニングシミユレーションを供覧しながらご説明しています。